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2008年8月

2008年8月23日 (土)

演劇「女教師(じょきょうし)は二度抱かれた」

松尾スズキ作・演出の本作をシアターコクーンに見に行った。 Nは阿部サダヲのハジけた演技が見たいし、市川染五郎、大竹しのぶにも興味あり、とのこと。確かに阿部サダヲはハジけていたし、大竹しのぶは予定通りの名演技だったが、市川染五郎は、この芝居に出て本当に得したのだろうか?イジられキャラで終わってないか?ちょっと可哀想な観すらあり。そんな中で、複数の端役をこなしつつ、いちばんおいしいところを持っていったのは、やはり松尾スズキだったような気がする。当然か。Nは見たいと言いつつ、やっぱり演劇って性に合わないなあ、なんだか狭くて、暗くて、必死で・・・それでいてハジけていたのか?というと意外と地味だったね、という感想で2.5点。Tは劇中で阿部サダヲと市川染五郎による発泡酒CM撮りのシーン(衣装とかメイクとか)が、満点大爆笑だったので3.5点。合計6点。しかし、この演劇の下敷きになっている「欲望という名の電車」という作品の背景や、そのヒロイン(ブランチ)役をかつて大竹しのぶが演じたことがある、ことなどをよく理解してから見た方がよいのか?そんなことは、どうでもいいのか?をつらつらと考えた結果、やっぱり、背景をよく知っておかないと、ストーリー展開(特に結末)の意味がつかみにくいと思った。やっぱり予備知識は重要。

Jokyoushi

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2008年8月22日 (金)

CORTE di CAMA Valtellina Superiore Mamete Prevostini 2003

コルテ・デ・カーマ・ヴァルテッリーナ・スペリオーレ・マメーテ・プレヴォスティーニ(CORTE di CAMA Valtellina Superiore Mamete Prevostini 2003)。エノテカ・ドォーロにて。「これは、おいしい。まるでピノのよう!」と二人が驚いた。ピエモンテ州の北東部に位置するロンバルディア州のヴァルテッリーナ地区は、ネッビオーロ種をキアヴェンナスカと呼んでおり、この葡萄の北限の地である。ワイナリーの現当主であるマメーテ・プレヴォスティーニは、この「コルテ・デ・カーマ」をつくる上で、50%は生ブドウを使用し、残りを陰干ししたものを用いて造るという既存生産者が行わなかった新たな試みを行ったという。余韻はそれほど長くはないが、アロマの素晴らしさはピノを超えるものがあり、果実の凝縮感、クリアさも抜群だった。ネットで見つけたら、この上位の商品も含めて是非、買いたいと感じたほど。

Cortedicama_6

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2008年8月11日 (月)

映画「The Dark Knight」

とても濃密な映画だった。というか、起承転結がしっかりしたお話を4話分ほどゴチャ混ぜにしたような感じで、バットマンが4回くらい危機に陥り、4回くらいジョーカーと戦い、4回くらい街がパニックになり、その辻褄を頭の中で合わせなければならない。バットマンもジム警部補もデント地方検事もゴッサムシティの平和を守る中、それぞれの立場で恋愛、家族愛の軋轢に苦しみもがき、心は大きく揺れ動く。そんな中で一点の曇りも無く自らの信じるところを徹底的に生き抜く狂気の男、ジョーカー。街を支配し全ての富を手に入れた途端、それを全て燃やしてしまう。彼は、支配することすら興味が無く、どこまでもカオス(混沌)を希求する。逆に支配を目論む者は、マフィアだろうが、白騎士だろうが黒騎士だろうが、正義だろうが悪だろうが、場合によっては自分自身ですら、容赦なく破壊する。この破壊の美学の前では、バットマンの正義の哲学すら陳腐に見えて霞んでしまう。このゾクゾクするような確信犯的映画にNは3.5点、Tは4点。合計7.5点。


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2008年8月 9日 (土)

映画「崖の上のポニョ」

六本木ヒルズにて。購入したパンフの冒頭に「監督企画意図」と題するマニフェストがある。「〜略〜アンデルセンの『人魚姫』を今日の日本に舞台を移し、キリスト教色を払拭して、幼い子供達の愛と冒険を描く。〜略〜少ない登場人物。いきもののような海。〜略〜海を背景ではなく主要な登場人物としてアニメートする。〜略〜」などとある。かつて「アルプスの少女ハイジ」において高畑勲監督がヨハンナ・スピリの原作から「慎重に宗教観を切り離した」ように、また、少ない登場人物へのこだわりや、海の表現を共にアニメートのテーマにしてきた小田部羊一氏、そのご夫人であり昨年5月に逝去されたアニメーター奥山玲子さんへの想いなど、様々なことどもが、今一度、昔の手技(てわざ)に回帰し、背景と作画を一体化させ、緊張感のある少ない線で、本当のアメニーションをつくりあげてやろうと宮崎駿に決心させたのだろうと想像する。その渾身の一作がポニョだ。近藤勝也(作画監督)の作詞、久石譲の作曲になる「崖の上のポニョ」という歌も、そのコンセプトと過不足なく一致している。この映画で重要なのはアニメーションそのものであり、あまりストーリー進行や各キャラの落としどころや顛末にこだわってはいけない。
Tが一番好きだったのはエンディング。丸くワイプアプトして、かわいいスタッフテロップが曲とともに流れ、順番とかはゴチャ混ぜで、「宮崎駿」の文字すらどこにあるのかわからずにスパっと終わる。なんという歯切れの良さ。Tは、3.5点。Nは、感情移入できるキャラクターがなく、物語の本質が深く心に響かないこと、アニメの技はすごいのだろうが画調に魅力を感じないこと、日経新聞の映画評で満点をとっているような映画は、個人的に認めていないという観点から2.5点。合計6点。
しかし、Tにとっては宮崎駿という人がちょっと好きになってしまいそうな映画だ(手の復権とノスタルジーの狭間で、手を動かすことを辞めない巨匠に好感を持たない人がいるだろうか?タバコを吸わなければ完璧だ)。文化庁に日本アニメ界の偉業とも位置づけられそうな本作が興収100億円を超えるのだとしたら、宮崎駿にしかできない、万々歳の満点であり、これでいいのだ!とバカボンパパのように言わざるを得ない傑作。

Ponyo1Ponyo2Ponyo3

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